放浪画家・山下清|初めて真贋を見極めることができた作家の思い出

私には、不思議とご縁を感じる画家がいます。
それが山下清です。
実は、私が初めて自分の力で真贋を見極めることができた作家も、山下清でした。
当時は、美術品鑑定士として経験を積んでいる最中でした。
その時は周囲にすぐ相談できる人はおらず、それでも査定結果は早くお客様へお伝えしなければいけない状況でした。
もし判断を誤れば、お客様にも迷惑をかけてしまいます。
その責任の重さを感じながら、真作資料と査定依頼の写真を何度も何度も見比べました。
そうして見続けるうちに真作と贋作の、ある種の法則性を偶然発見し、最終的には自信を持って査定結果をお伝えすることができました。
その時の経験は今でも強く記憶に残っています。
山下清作品は贋作も多い
その後も、蜂や蜻蛉、魚、ダリアなどが描かれた色紙作品をはじめ、さまざまな山下清作品を査定・買取する機会に恵まれました。
一方で、山下清は贋作が非常に多い作家としても知られています。
色紙作品は一見するとシンプルに見えるため模倣されやすく、真贋判定が難しい作品も少なくありません。
さらに真贋判断のための鑑定書までも偽造されるケースがあるため、作品だけでなく付属品についても慎重な確認が必要です。
何にも縛られなかった山下清という人
山下清の人生を知れば知るほど、「何にも縛られない人だった」という印象を受けます。
私たちは、「いつか旅に出たい」「あの景色を見に行きたい」と思っても、日々の生活の中でその気持ちをしまい込んでしまうことがあります。
しかし山下清は違いました。
思い立てば旅へ出る。
昨日は青森にいて、明日は福岡にいる。
そうなっても決して不思議ではない人生を歩んだ人です。
だからこそ、その作品には肩の力が抜けたような、おおらかさがあります。
自由に旅をし、自由に感じた景色をそのまま作品へ映し出しているように思えるのです。
査定のたびに思い出すこと
山下清の作品は、貼り絵だけではありません。
色紙、ペン画、版画、陶磁器への絵付け、鞄などに描かれた作品まで、多彩な作品が残されています。
これまで私も、さまざまな山下清作品の査定に携わってきました。
作品と向き合うたびに思い出すのは初めて真贋を見極めた時の緊張感と、一人の自由な芸術家が残した作品の魅力です。
「これは山下清の作品だろうか」
「価値だけでも知りたい」
そのようなご相談も歓迎しております。
作品は一つとして同じものはありません。
丸奈アートでは、一点一点の作品と丁寧に向き合いながら査定しておりますので、お気軽にご相談ください。
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